介護の就労者は昨年、離職者が新たに働き始めた人を上回り「初の減少」となり、赤字の特養ホームはコロナ前から倍化し、介護サービスはコロナ禍の利用控えが回復せず物価高が経営悪化を招いています。文京区内ではどんなことが起きているでしょうか。
特養・白山の郷を運営する社会福祉法人福音会は、向丘・白山・本郷の3か所の在宅サービスセンター、地域包括支援センター富坂含め、文京区内から2025年3月末で撤退を決め、文京区は10月末に了承したと11月の厚生委員会に報告しました。
撤退申出の理由は?
福音会は区が今後実施する白山の郷の大規模改修の際、6点に渡る理由を区長宛の文書で述べ、更に区内の施設では「資金ショート」していると訴えています。その理由は- 入所者が減り給与支払いが困難②改修で減収が発生するが区から資金支援が見込めない
- 改修で減収が発生するが区から資金支援が見込めない/li>
- 板橋区の代替施設への一時移転は負担が大きい
- 一時移転する際の協力医や給食業者委託等、課題山積
- 区有施設の利用は困難と区が判断
- 存の)施設は備品更新や小破修繕含め負担増大で入居者に支障を来たし、更に悪化が想定される
文京区は厚生委員会で「今後、安定的な運営が期待できないと判断し」「今後の対応方策を早急に検討していく」と報告しました。
介護報酬引上げと区の支援を
福音会が町田や練馬で運営する介護施設は維持しているのですから、文京で撤退に至るのは今後の大規模改修の影響を回避するためとなります。大規模改修中に入所者の療養・住環境を確保することは区の役割です。財政支援や減収補填をしないことが撤退の背景だとしたら区の対応は冷たいということになります。更なる解明が必要であり、同時に、国が決める介護報酬が低すぎることが背景の大問題です。
高齢者が介護保険サービスを利用して生活する公的施設が特別養護老人ホームです。利用者に負担のかかる事業者交代は区の支援で避けられるはずです。